きっかけ





「うわ、多い」


昼休みの図書室

普段来る人数が少ないはずのこの教室が何故か今日に限っては沢山の生徒が訪れ

座れる場所はないかと辺りを見回してみても殆どが本を読んだり宿題をしていたりで見つかりそうにもない

「誰でも考えるのは一緒か」

外は快晴で日頃教室や外で遊んでいる彼らもさすがに30度を超える真夏並みの暑さ(5月初めにも関わらず)となると忌避したくなるのも同然だろう

しかも図書室とコンピューター室だけは一日中冷房が効いているのは全校生徒の知るところ

例に漏れず回避組だった大は自分が想像していなかったこの現実に肩を落とすとこれならいっその事たまり場に行けばよかったと

大きく息を吐き出した

たまり場は以前まで会議室だった部屋は現在は明凌連の幹部が集まる部屋として使われ

いつも誰かしら居るので関係者以外は怖がって誰も近寄らないのだが

気がつけば関係者というか幹部的存在になっていた大にとっては東堂や四方、導明寺兄弟など

上級生とも気兼ねなく話ができるのでお気に入りの場所だった


「あそこなら茜に邪魔されることもないだろうし」


一番重要なのはそこだった

元はといえばこうしているのも次の授業に提出しなければならない課題をしている傍から邪魔をしてくる茜が原因な訳で

難しい本のある図書室までは追ってこないという確信があったから

此処が使えないとなるとまた教室に引き返さないといけなくなる

どうしたものか


「なーにさっきから唸ってんだよ」



2005.6.4

(そんなつもりなかったのに続き物になっている不思議。)

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